製造工程・加工工程における金属切断屑や金属など、大量に発生するスクラップは、適切な処理が必要となるやっかいな廃棄物です。
しかし、そのスクラップ業務の即効性のある改善作業であるのが、スクラップ回収業者による買取です。
今回は、スクラップ業務改善を検討されている方に向けて、スクラップの中でも特にニッケルスラッジについてご紹介していきます。

ニッケルスラッジとは？

ニッケルは、鉄族元素のひとつで、「Ni」という元素記号で表記されます。
ニッケルは、研削が容易で、展延性が優れているため、鉄と同じように鍛造・鍛接することができます。
また、ホットワードであるレアメタルの一種でもあり、大気中でももちろん、水や海水に対しても腐食しにくいという特徴を持っています。
ニッケル合金としてだけでなく、金属表面保護のためにニッケルメッキとして使われることもあります。
しかし、ニッケル合金は高価であるため、特定の用途で使われる場合が多い傾向にあります。
そして、ニッケルを研磨したときに発生する研磨粉が入っている汚泥や汚水のことを「ニッケルスラッジ」と呼びます。

ニッケルスラッジの含有物質

例えば、自動車工場が年間900万円を支払って処理していたニッケルスラッジを、1～1.5円／kg（金属の相場によって変動あり）で買い取ってもらうことで、年間900～1000万円の利益に変えることができます。
しかし、お金を払って買い取りたいという業者がいるということはニッケルスラッジに価値があるからこそ、経営が成り立つのですが、実は買い取ってもらう際には、その含有物質に着目しなければなりません。
ニッケルスラッジの含有物質としては、P（リン）やS（硫黄）が挙げられます。
これまで、これらの成分がニッケルスラッジに多く含まれている場合、ニッケルスラッジをリサイクルすることは難しくなり、埋め立て処理するしか方法がありませんでした。
しかし、現在の技術をもってすれば、イオン交換樹脂を用いたり、処理を施したりすることが可能になり、その結果P（リン）の量を低下させることができます。
加えて、ニッケルスラッジは中国やアジアを中心とした国々に輸出され、ステンレスとして販売されることもあります。
そのため、ニッケルスラッジは買い取る価値のある物質となるのです。

まとめ

ニッケルスラッジに価値があるとはいえ、その成分によっては価格が左右し、業者側も活用できるものであることが前提です。
そのため、買取業者は検収・分析・選別といった工程が必要になります。
これらの中間マージンは、ニッケルスラッジの価値にも影響するため、買取業者を選ぶ際には、回収後のプロセスも比較して選ぶことをおすすめします。