ニッケルスラッジという言葉を聞いたことがある方は多くはないでしょう。
メッキ加工の過程で発生する廃液であり、基本的には廃棄されているものです。
あまり馴染みのないものではありますが、場合によっては価値のあるものと評価されるので、スクラップを扱っていらっしゃる方にはぜひ知っていただきたい物質です。
本記事では、ニッケルスラッジの概要と含有物質、その活用方法について解説していきたいと思います。

ニッケルスラッジとは

スラッジとは、工場排水や下水処理に伴って発生する汚泥のことです。
そして、ニッケルが含まれている汚泥のことをニッケルスラッジといいます。
ニッケルメッキを行っている工場から発生する産業廃棄物の1つであり、環境汚染を引き起こすこともあるようです。
従来、このような産業廃棄物は埋め立て処分されるのが一般的でしたが、スラッジを溶融し、できあがった酸化物からニッケル等の合金を回収できるようになりました。
メッキ液を全て排水として処理していた頃は、投入した原料の約3割を損失として廃棄していたため、金属を取り出す技術が確立したことは、環境保護や資源再利用にとって有効だといえます。

ニッケルスラッジに含まれる物質と活用

ニッケルスラッジの組成分析によると、質量の約55%がニッケルであることが分かります。
他にはケイ素を約3.2%含んでおり、カルシウムや銅、鉄を含んでいる場合もあります。
ニッケルの廃液からニッケルを回収する方法としては、硫化物法、イオン交換法、溶媒抽出法などが実用化されています。
また、廃液の活用方法として、回収したニッケルを硫酸溶解し、不純物除去などによりメッキ原料として再利用することが行われています。

まとめ

ニッケルスラッジとは、ニッケルを含んだ汚泥である、という説明をしました。
これらは金属原料として再資源化が可能であり、処理コストの削減につながります。
一般的には産業廃棄物ではありますが、含有成分の種類や量によっては有価物に変化しうるのです。
地球全体で環境保護が叫ばれる中、メッキの排水から有価金属を回収できる技術が確立したことは非常に喜ばしいことですよね。

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