上記、銅相場をみると銅価格は2020年初頭から高騰し、真鍮をはじめとするスクラップ価格も銅相場と同じように上昇しました。2022年3月には急落する動きもみせましたが、同年7月には価格が回復するように再度上昇しています。
2.資源相場以外の価格高騰
資源相場以外の価格が高騰しているのも、真鍮価格が高騰している要因の1つです。真鍮は蛇口などの原料として多く使用されていますが、これらの製品はマンションや新築住宅などに使用されています。
これらの製品を製造・販売するためには、原料の輸入や、リサイクル原料の調達、製品を出荷する必要がありますが、この時かかるのが「輸送コスト」です。新型コロナウイルスによる経済停滞からの急激な回復や、ロシアのウクライナ侵攻よって原料価格が上昇し、燃料・輸送コストは高くなっています。
また、インフレによって賃金向上が叫ばれていることから、製造・輸送にかかる人件費も増加傾向にあります。情勢がこのままであれば、これらのコストは今後も上昇していくでしょう。
3.資源原料の不足
銅をはじめとする資源相場の上昇および、物不足が深刻化し、世界中で原料の取り合いが発生しています。事実、2021年末にはLME(ロンドン金属取引所)の在庫指数が急落し、マイナスに近い状態となり、資源がほぼ市場から消えるという事態になりました。
需要が高い状態で銅そのものが不足すれば、当然銅価格は上昇します。前述のとおり、銅を主原料とする真鍮は銅相場の影響を大きく受けるため、資源原料不足で銅価格が高騰すれば、必然的に真鍮価格も高騰してしまうということです。
真鍮スクラップの買取需要は高まっている
真鍮スクラップであれば、スクラップからすでに精錬された真鍮を取り出し、原料として使用することが可能です。そのため、鉱物から銅を精錬したり、銅を購入して真鍮を精錬したりしてから原料として使用するよりも、精錬コストや輸送コストなどを抑えられます。
銅価格の高騰や資源原料の不足などによって価格が高騰している中、少しでもコストを抑えたいという背景もあって、真鍮スクラップの買取需要は今まで以上に高まりつつあります。真鍮は蛇口やドアノブ、仏具などに使用されているため、この機会に真鍮スクラップの買取を検討してみるとよいでしょう。
真鍮スクラップを買取してもらうメリット
真鍮を買取してもらうメリットとして次の3つが挙げられます。
- 利益の向上
- コストの削減
- SDGsへの寄与
それぞれ詳しくみていきましょう。
1.利益の向上
真鍮スクラップを廃棄している場合、廃棄コストしかかかりません。しかし、真鍮スクラップを買取すれば、買取で得た売却額は「雑収入」として利益計上が可能です。
特に真鍮は以前から人気のある金属でしたが、価格高騰などによって需要が高まり、買取価格はさらに高くなっています。真鍮スクラップを買取すれば、利益の向上に寄与できるでしょう。
2.コストの削減
真鍮スクラップを廃棄から買取に切り替えれば、当然廃棄物として処理する量は減らせます。
つまり、買取によって処分するスクラップ量を抑えられれば、処理コストの削減にも寄与できるということです。
3.SDGsへの寄与
SDGs(Sustainable Development Goals)とは、2030年までに持続可能でよりより世界を目指すための国際目標のことです。17のゴールと、169のターゲットから構成されており、地球上の誰1人取り残さないことを誓っています。
例えば、真鍮スクラップ買取によって資源のリサイクルが可能となれば、目標12「つくる責任、つかう責任」の達成が可能です。
リサイクル率の向上によって、廃棄量や鉱山掘削量、精錬時にかかるエネルギー量を低減できれば、目標11「住み続けられるまちづくりを」や、目標13「気候変動に具体的な対策を」などにもつなげられます。
このように、スクラップの買取はSDGsと非常に密接な関係があり、買取を推進することで、持続可能な世界の実現に寄与できます。
真鍮スクラップとは?
真鍮スクラップとは、真鍮が主原料となっている廃品のことです。
リサイクルを行い、新しく真鍮スクラップを用いた製品にできるものであれば、すべて真鍮スクラップに該当します。
真鍮スクラップの代表的な種類
真鍮スクラップの代表的な種類として次の4つが挙げられます。
- 真鍮(上)・真鍮(下)
- 高力真鍮
- 真鍮ダライ粉
それぞれ詳しくみていきましょう。
真鍮(上)・真鍮(下)
真鍮スクラップの1つである真鍮は、「真鍮(上)」と「真鍮(下)」の2種類があります。真鍮(上)はプラスチックなどの不純物がないもの、真鍮(下)はプラスチックなどの不純物がついているものとなります。
当然、不純物が付着していない真鍮(上)の方が買取価格は高いです。できるだけ買取価格を高くしたいという場合は、不純物を取り除くなどしてしっかりと仕分けを行うようにしましょう。
高力真鍮
高力真鍮は高力黄銅ともいい、6:4の割合で、マンガンやアルミ、鉄を添加した銅合金です。
強度が高まる他、耐食性にも優れており、船舶のプロペラ軸やポンプ軸、産業用の機械部品などに使用されています。
真鍮ダライ粉
真鍮ダライ粉は、加工時に発生する粉状の真鍮スクラップです。粉の中に油分やステンレス、アルミニウム、鉄などが混入している場合、買い取りされない確率が高くなります。
そのため、真鍮ダライ粉として買い取りを検討している場合は、不純物が含まれないように細心の注意を払わなければなりません。
今後真鍮スクラップの買取価格はどうなる?
今後、真鍮の買取価格はどうなっていくのでしょうか?冒頭でも触れたとおり、真鍮の価格は真鍮の主原料である銅相場によって決まります。
2022年前半に下落した銅相場ですが、同年後半には再度上昇に転じており、2020年の高騰前の価格まで急落することは考えにくいです。また、スクラップの買取需要に伴い、真鍮スクラップも多様性が広がっていることから、真鍮の買取価格が大きく値崩れすることはないでしょう。
ただ、米中の対立激化やウクライナ侵攻の長期化、世界的なインフレの加速、アメリカ銀行の相次ぐ破綻など、不確定要素は少なくありません。情勢次第では供給の安定化が実現し、相場が大きく下落する可能性もあります。
そのため、当記事で紹介した見解を参考にしつつも、鵜呑みにせずに、自身で考える力を養うことが大切です。
そもそも真鍮とは?
真鍮とは、銅と亜鉛の合金です。亜鉛が20%以上のものを指し、亜鉛の量が高くなるにつれて色が薄くなり、反対に亜鉛の量が低くなると赤みが増します。
また、亜鉛の割合が増すと硬度が増しますが、反対に脆さも増してしまうため、45%以上では実用での耐久性がなくなるといった特長も有しています。真鍮は銅と亜鉛の比率によって、さらに種類を分けることが可能です。
真鍮の代表的な種類
真鍮の代表的な種類として次の4つが挙げられます。
- 黄銅
- ネーバル黄銅
- 快削黄銅
- 丹銅
それぞれ詳しくみていきましょう。
黄銅
黄銅は銅が60~70%、亜鉛が30~40%の真鍮です。亜鉛30%の場合は七三黄銅、40%の場合は六四黄銅とも呼ばれます。
展延性が高いことから様々な形状に変化させられるため、時計や金属雑貨、時計の部品などに使用されます。
ネーバル黄銅
ネーバル黄銅は黄銅に錫を添加することで、耐海水性を高めた真鍮です。
ネーバル(naval)は日本語では「海軍」という意味を持つことから、海軍黄銅とも呼ばれています。
快削黄銅
快削黄銅は銅が60%程度、鉄が数%、鉛が数%、残りが亜鉛の真鍮です。
名称どおり、切削性が優れており、加工しやすいといった特長があります。
丹銅
丹銅は銅が80~95%、亜鉛が5~20%の真鍮です。各金属の比率をみても分かるとおり、真鍮の中でもかなり銅に近い合金です。
色合いが10~18金に近い他、赤みがあるといった特長があります。また、耐食性も高いことから、アクセサリーの1部や建築資材などの原料として使用されています。
真鍮の特長
真鍮の特長として次の4つが挙げられます。
- 熱間鍛造性に優れている
- 電気伝導率が高い
- 切削性に優れている
- 展延性に優れている
それぞれ詳しくみていきましょう。
1.熱間鍛造性に優れている
熱間鍛造とは、歪んだ結晶を正常な結晶に変化させる再結晶温度以上に熱した金属に用いられる加工方法のことです。真鍮は熱間鍛造性に優れているため、加熱によって複雑な形状にも簡単に加工することが可能です。
ガスコンロのバーナーヘッドなどは、真鍮の熱間鍛造性を活かして製造された製品です。
2.電気伝導率が高い
真鍮は電気伝導率が高い合金です。電気伝導率は銀の次に高く、銀を100とするならば、真鍮は97以上ともいわれています。
電気伝導率が高いということは、電気が通りやすいということです。そのため、真鍮はコンセントやコネクターなどの接続機器の原料として使用されています。
3.切削性に優れている
切削性とは、切削加工の削りやすさのことです。真鍮は切削性に優れているため、精密部品やナット、ボルト、精密加工が必要な部品などの原料として使用されています。
また、真鍮はわずかな量であっても大きな殺菌作用があります。そのため、衛生上の観点から、引手やドアハンドルの原料として使用されることも多いです。
4.展延性に優れている
展延性とは、圧縮した際に薄いシート上にできる展性、引っ張った際に細かく引き伸ばされる延性のことです。真鍮は展延性にも優れているため、薄く広げる、細く伸ばす、療法の加工が行えます。
そのため、材料を破損させることなく、柔軟に形状を変えることが可能です。
真鍮の注意点
真鍮の注意点としては次の2つが挙げられます。
- 酸化による変色
- ゴムの分解腐食
それぞれ詳しくみていきましょう。
酸化による変色
真鍮は空気中では、表面の酸化進み、黒ずみ(酸化銅)に覆われます。クリアコートやメッキ加工といった加工を施していない場合はすぐに黒色に変色したり、錆びたりするため、注意が必要です。
また、水分に弱い分、汗や手垢、湿気でも酸化を早めてしまいます。
ゴムの分解腐食
真鍮はラテックスといったゴム製品とは非常に相性が悪いです。
生ゴムやラテックス類を塗った場合、黄銅によってゴムを分解腐食させてしまうため、保管する際は注意が必要です。
真鍮の代表的な用途
真鍮の代表的な用途としては以下が挙げられます。
- 仏具
- 金管楽器
- コンセントなどの接続機器
- 革小物・アクセサリー
- ドアハンドル・蛇口・便器給水スパッドなどの建築用資材
- 鉄道模型・理化学器械類
- 印刷機などの精密機器部品
- 時計部品
- 5円玉
上記はあくまでも一例であり、真鍮は様々な場所で用いられています。
まとめ
真鍮の買取価格推移や価格が高騰している要因、買取需要の現状、買取するメリットについて解説しました。真鍮は銅と亜鉛で構成されている銅合金です。
銅や原油などの価格高騰に伴い、真鍮価格も高騰しています。真鍮スクラップであれば、そのまま真鍮を取り出せるため、銅の調達や銅から真鍮を精錬するといったコストがかかりません。
精錬・輸送コストを抑えられる、リサイクルにも寄与できるなどの観点から、原料として真鍮スクラップに注目が集まったことで、真鍮スクラップの買取需要は高まっています。真鍮スクラップを買取してもらえれば、売却益による利益向上や、廃棄物減少による廃棄コストの削減、SDGsに寄与できるといったメリットを享受できます。
少しでもコストを抑えたいという方は、真鍮の買い取りを検討してみるとよいでしょう。
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カフェ・レストラン・バー等の飲食店の経営
1940年代 | 個人商店(新崎商店)として、新崎真悟が金属リサイクル事業を開始。 |
2002年 | 新たにレアメタルの取り扱いを開始。現代表 新崎 哲雄が有限会社エスアールシーを設立。 |
2005年 | 事業拡大に伴い、株式会社へ組織変更。 |
2007年 | 新たに貴金属リサイクル事業・地金取り扱いを開始。貴金属事業部:神戸ゴールドバンク発足。 |
2010年 | 超硬リサイクル事業部(超硬ドットコム)サービス開始。 |
2013年 | ニッケルコバルトリサイクル事業部(ニコニコメタル)サービス開始。 事業拡大のため、六甲アイランドに事業用地を取得。六甲アイランドベース開設。 |
2018年 | アンティーク家具・雑貨事業部(Kobe Antique Warehouse)サービス開始。 レアウイスキー、クラフトビール販売サービス開始。 |
2019年 | 歯科金属リサイクル事業部(シカキン)サービス開始。 |
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