「レアメタルの価格動向について知りたい」
「レアメタルの価格変動が激しい理由とは??」
「そもそもレアメタルってなに?」
このようなお悩みをお持ちの方に、レアメタルの価格動向や価格変動が激しい理由、レアメタルの概要について解説します。
レアメタルの価格推移
2022年5月にリチウムイオン電池の正極材に用いられるレアメタルが高騰し、1年比で約5倍高くなっていることをニュースイッチが報じています。これは電気自動車のバッテリー需要が急増し、供給が追いつかないことで、需要が切迫したことが要因です。
また、レアメタル関連鉱物の精製工程が中国に集中したことによる供給構造課題、ロシアのウクライナ侵攻によるロシア産鉱物の供給懸念なども大きく影響しているようです。
しかし、約1年後の2023年4月にはレアメタルの価格が急落したと日本経済新聞が報じています。これはレアメタルの世界最大需要地である中国を中心に電気自動車用のバッテリー素材であるリチウムなどのレアメタル需要が振るわないことが要因とみられています。
事実、リチウムは2022年末比で価格が58%下落しており、マグネシウムも2023年3月下旬に1年10ヶ月ぶりに安値をつけました。上記のことから、レアメタルの価格は変動が激しいことが分かります。
レアメタルの価格変動が激しい理由
レアメタルの価格変動が激しい理由は、大きく分けて次の2つです。
- 需要と供給のバランスが崩れやすい
- 市場規模が小さい
レアメタルは他鉱物の副産物として生産されることから供給が不安定であり、生産物の供給具合によって、レアメタルの供給が左右される傾向にあります。さらに産出国に偏りがあり、政情不安の国から産出されることも少なくありません。
そのため、需要と供給のバランスが崩れやすく、価格が変動しやすいです。
また、鉄や銅といったベースメタルと比べて、レアメタルは市場規模が小さいため、価格の変動が激しくなります。つまり、レアメタルの価格が短期間で大きく乱高下するのは、市場規模が小さく、価格変動が激しいにもかかわらず、需要と供給のバランスが変化しやすいからだといえます。
レアメタルとは?
レアメタルとは、抽出が困難もしくは、産出量が少なく希少な鉱物資源のことです。平成23年11月に経済産業省が発表した「レアメタルのリサイクルに係る現状」によれば、レアメタルを次のように定義しています。
「地球上の存在量が稀であるか、技術的・経済的な理由で抽出困難な金属」のうち、工業需要が現に存在する(今後見込まれる)ため、安定供給の確保が政策的に重要であるもの
レアアースとは?
レアアースとは、希土類元素とも呼ばれ、レアメタルのうち、17元素のグループが該当します。
カラーテレビの蛍光体などに用いられるなど、レアアースもレアメタル同様に現代産業には欠かせない重要な元素です。
レアメタル・レアアースの種類
ここでは次の2項目に分けて該当金属を紹介します。
- レアメタルの種類
- レアアースの種類
それぞれ詳しくみていきましょう。
レアメタルの種類
レアメタルに該当する非鉄金属は次のとおりです。
- リチウム
- ベリリウム
- チタン
- バナジウム
- クロム
- マンガン
- コバルト
- ニッケル
- ガリウム
- ゲルマニウム
- セレン
- ルビジウム
- ストロンチウム
- ジルコニウム
- ニオブ
- モリブデン
- パラジウム
- インジウム
- アンチモン
- テルル
- セシウム
- バリウム
- ハフニウム
- タンタル
- タングステン
- レニウム
- プラチナ
- タリウム
- ビスマス
チタンは地中埋蔵量が多い非鉄金属ですが、高純度のチタン精錬は非常に困難かつ、技術コストが高額であることから、レアメタルに分類されています。
レアアースの種類
レアアースに該当する非鉄金属は次のとおりです。
- スカンジウム
- イットリウム
- ランタ
- セリウム
- プラセオジム
- ネオジム
- プロメチウム
- サムリウム
- ユウロピウム
- ガドリニウム
- テルビウム
- ジスプロシウム
- ホルミウム
- エルビウム
- ツリウム
- イッテルビウム
- ルテチウム
ネオジムとジスプロシウムは強力な永久磁石、イットリウムはカラーテレビの蛍光体などに使用されることで有名です。
レアメタルの代表的な用途
レアメタルの代表的な用途として次の3つが挙げられます。
- 電子材料
- 特殊鋼
- 精密機器
それぞれ詳しくみていきましょう。
電子材料
電子材料とは、半導体レーザーや発光ダイオード、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池などのことです。近年、環境問題などを背景にガソリン車から電気自動車へ移行する動きが加速しております。
冒頭でも紹介したとおり、電気自動車のバッテリーとして使用されているリチウムイオン電池の需要が見込まれることから、レアメタルの価格は高騰しました。また、ニッケル水素はデジタルカメラや携帯音楽プレイヤーなどに使用され、正極にはレアアースが30%含有されています。
特殊鋼
特殊鋼とは、クロムやニッケルといった各種材料を少しずつ特殊配合した鋼のことです。材料の組み合わせや含有量、混ぜ合わせるタイミングによって、様々な形質になることから、幅広いシーンで役立てられています。
特殊鋼はクロムやニッケル以外にも、モリブデンやコバルト、バナジウムなど、様々なレアメタルが用いられています。
精密加工機械
精密加工機械とは、高精度が求められる部品加工に必要な機械のことです。
精密加工機はデジタルカメラや携帯電話、パソコン等の製造はもちろん、ビール缶やボールペンのボールなどの製造にも用いられています。
日本が抱えるレアメタルの課題
他の鉱物の副産物として生産されるレアメタルは前述のとおり、生産物の供給具合に左右されやすく、需要と供給のバランスが崩れやすいです。その一方、電子材料や精密加工機械などの現代技術にレアメタルは必要不可欠であり、今後も需要は拡大していくことが予想されます。
そのため、1部のレアメタルは将来的に需要が供給を上回る需要ギャップが生じ、欧米や中国などを中心に資源獲得が激化する懸念があります。レアメタルの多くを輸入に頼っている日本にとって、資源獲得の激化による供給の不安定化は大きな課題です。
日本が掲げているレアメタル確保の戦略
日本が掲げているレアメタル確保の戦略として次の4つが挙げられます。
- 資源確保策の策定
- 備蓄によるセキュリティ強化
- 国際的な協力の推進
- 供給網の多角化
それぞれ詳しくみていきましょう。
資源確保策の策定
レアメタルは産出国に大きな偏りがあり、レアメタルの種類によって産出主要国や価格、市場規模は様々です。鉱物ごとにリスクが異なるため、画一的な戦略では十分な資源確保が行えません。
そのため、レアメタル産出国ごとの情勢や需要見通しなど、鉱物ごとにリスクを把握したうえで、政策を整理し、戦略的な資源確保策を策定することを発表しています。
備蓄によるセキュリティ強化
石油と同様、レアメタルも緊急時に備えた備蓄を行っています。しかし、現状の備蓄目標数は1986年時の情勢をもとに設定された数値です。
中国の寡占化やレアメタル需要の拡大、産業構造が変化した現在の情勢では、現状の備蓄目標数は適切ではありません。このような背景から政府は鉱物ごとに備蓄目標数を見直し、より柔軟なセキュリティ体制を構築することを掲げています。
国際的な協力の推進
鉱物資源のサプライチェーンはグローバル化しており、レアメタルの供給リスクは拡大しています。このような背景もあり、政府は鉱山開発から製品製造の各種プロセスに関係する国々との国際的な協力の推進を掲げました。
また、レアメタルはベースメタルの副産物として生産されることも多いです。レアメタル供給を安定化させるためには、ベースメタルの生産における技術基盤強化なども図っていかなければなりません。
そのため、産学官が連携し、人材確保や技術開発といった様々な課題に対応していくこととしています。
供給網の多角化
現状、製錬の工程の権益は中国をはじめとする特定の国が占めています。しかし、特定の国に依存している場合、その国に何か起きた際、供給が途絶える可能性は非常に高いです。
そのため、リスクマネジメントの観点から製錬所単独のビジネスモデルや、探鉱から開発に移行した案件に日本企業が参画できるように独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)が支援を行い、供給網の多角化を推進していくとしています。
また、経済産業省の資源エネルギー庁によれば、鉱物資源の安定確保に向けて次の取り組みにも力を入れています。
- 代替材料の開発および省資源化
- 海洋資源の開発
- リサイクル
レアメタルスクラップの売却も資源確保に向けた戦略の1つ
レアメタルスクラップの売却はリサイクルにつながる他、都市鉱山の活用にも寄与できる取り組みです。都市鉱山とは、廃棄されたスクラップや使用済み家電製品・携帯電話・パソコンなどに含まれるベースメタルやレアメタルなど、都市部に蓄積した資源を鉱山に見立てた言葉です。
主に資源の再利用を促す概念として用いられます。多くの資源を輸入に頼っている日本ですが、都市鉱山においては世界有数の資源大国です。
2008年1月に独立行政法人・材料研究機構が発表した「わが国の都市鉱山は世界有数の資源国に匹敵」によると、日本の都市鉱山に含まれているレアメタル量は、インジウムが各国の埋蔵量の約38%、タンタルが世界埋蔵量の約10%を占めるといわれています。
また、電池材料として用いられているリチウムや、触媒などに欠かせないプラチナの埋蔵量は世界の年間消費量の約6~7年程度まかなえるとも予想しています。レアメタルスクラップをはじめとする都市鉱山の活用は資源確保だけでなく、リサイクルにも寄与できる重要な戦略の1つです。
そもそもレアメタルスクラップとは?
レアメタルスクラップとは、レアメタルが主な原料となっているスクラップのことです。
リサイクルによってレアメタルを使用した新しい製品・部品の原料として活用できる廃品であれば、レアメタルスクラップと見なされます。
レアメタルスクラップの種類
レアメタルスクラップの代表的な種類として以下が挙げられます。
- 超硬(超硬質合金)
- ニッケル
- チタン
- サーメット
- 工具鋼(ダイス・線引ダイス・超硬など)
- 電池屑(リチウムイオン・ニッケル水素・電池粉)
- 磁石屑(ネオジム・サマリウムコバルトなど)
上記以外にも様々なレアメタルスクラップがあります。買取業者によって対象品目は異なるため、自社のレアメタルスクラップが買取できるかどうか気になる方は1度業者に相談してみるとよいでしょう。
レアメタルスクラップを高額で買取してもらうポイント
レアメタルスクラップを高額で買取してもらうポイントとして次の4つが挙げられます。
- 各レアメタルの相場状況を確認し、価格が高いタイミングで買取依頼をする
- しっかりと仕分けを行い、雑品スクラップと見なされないようにする
- できるだけ量をまとめてから買取依頼をする
- 工場などで大量のレアメタルスクラップが発生する場合、定期的に買い取ってもらう
売却予定のスクラップによっては2種類の相場状況を確認する必要があります。例えば、超硬はコバルトとタングステンの合金であるため、コバルトとタングステンの相場状況を確認し、総合的に買取タイミングを判断しなければなりません。
レアメタル以外の金属
レアメタル以外の金属としては次の2つが挙げられます。
- ベースメタル
- 貴金属
それぞれ詳しくみていきましょう。
ベースメタル
ベースメタルとは、鉄や銅、アルミニウム、鉛などのように、生産量が多く、大量に使用されている金属のことです。レアメタルと比べると市場規模も大きく、価格が安定しているものが多いですが、レアメタルはベースメタルの副産物として生産される非鉄金属となります。
ベースメタルの供給量がレアメタルの供給量に大きな影響を与えていることから、両者は密接な関係があります。
貴金属
貴金属は金や銀、プラチナ、パラジウムなど、希少で耐腐食性が優れている金属です。
一般的にはジュエリーのイメージが強い貴金属ですが、銀やプラチナなどは工業分野でも広く用いられています。
まとめ
2022年に価格高騰したレアメタルですが、最大需要国である中国を中心に電気自動車バッテリー需要が思惑どおり拡大しませんでした。その結果、2023年にはバッテリー素材のリチウムなどを中心にレアメタル価格は急落しています。
レアメタルはベースメタルの副産物として生産される金属であるため、ベースメタルの供給量に左右されることから需要と供給のバランスが崩れやすいです。さらに市場規模が小さいこともあって、価格が乱降下しやすいといった特徴があります。
そのため、レアメタルの購入や売却を行う場合は、価格変動しやすいといった性質を踏まえて、購入や買取タイミングを見極めなければなりません。
当店は、鉄や非鉄スクラップの回収と高価買取を行っています。スクラップ買取でお困りの方は、ぜひ一度当店にご相談ください。
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1940年代 | 個人商店(新崎商店)として、新崎真悟が金属リサイクル事業を開始。 |
2002年 | 新たにレアメタルの取り扱いを開始。現代表 新崎 哲雄が有限会社エスアールシーを設立。 |
2005年 | 事業拡大に伴い、株式会社へ組織変更。 |
2007年 | 新たに貴金属リサイクル事業・地金取り扱いを開始。貴金属事業部:神戸ゴールドバンク発足。 |
2010年 | 超硬リサイクル事業部(超硬ドットコム)サービス開始。 |
2013年 | ニッケルコバルトリサイクル事業部(ニコニコメタル)サービス開始。 事業拡大のため、六甲アイランドに事業用地を取得。六甲アイランドベース開設。 |
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2019年 | 歯科金属リサイクル事業部(シカキン)サービス開始。 |
2021年 | 本社を芦屋市公光町へ移転。春からビンテージウイスキー販売事業開始予定 |
鉄鋼ビルディング4階 S-07