「ステンレスの買取価格について知りたい」
「ステンレススクラップにはどんな種類があるの?」
「ステンレスを高額買い取りしてもらうポイントとは?」
このようなお悩みをお持ちの方に、ステンレスの買取価格推移やステンレススクラップの概要・種類、高額買い取りしてもらうポイントについて解説します。
ステンレスの買取価格推移
ステンレスの買取価格は横ばい状態です。ステンレス板の持ち込み相場は、2022年6月時点では250円程度/kgですが、同年8月までに180円程度/kgまで下がりました。
その後は、銅価格で横ばいが続いています。また、ステンレスコロの持ち込み相場も250円程度/kgでしたが、上記と同様、同年8月に170円程度/kgまで下落しました。
その後は価格が回復し同年10月には200円付近まで上昇した後は横ばいをしていましたが、2023年4月には再度下落し、2023年6月時点では150円程度/kgとなっています。
上記のとおり、ステンレスの買取価格は全体的に横ばいですが、持ち込む品目によっては、価格が下落していく可能性があります。
価格参考:山下商店公式ホームページ
ステンレススクラップとは?
ステンレススクラップとは、ステンレスが主な原料となっているスクラップのことです。
リサイクルして新しくステンレスを使用した製品の原料として活用できる廃品であれば、ステンレススクラップと見なされます。
ステンレススクラップの代表的な種類
ステンレススクラップの代表的な種類として次の4つが挙げられます。
- ステンレス(上)
- ステンレス(下)
- ステンレスダライ粉
- その他
それぞれ詳しくみていきましょう。
1.ステンレス(上)
ステンレス(上)は、付着物のないスクラップとなります。
ステンレス(上)の買取相場は2023年6月時点で、150〜200円程度/kgです。
2.ステンレス(下)
ステンレス(下)は、1mm以下の保護シートやプリント材が付着しているスクラップとなります。
ステンレス(下)の買取相場は2023年6月時点で、100円程度/kgです。
3.ステンレスダライ粉
ステンレスダライ粉は、旋盤加工時に発生するステンレスのくずのことです。くずでも買取対象となりますが、ステンレス以外の物が混入している場合は買取対象にならないため、注意しなければなりません。
ステンレスダライ粉の買取相場は2023年6月時点で110円程度/kgとなっています。
4.その他
ステンレススクラップは他にも様々なものがあります。ここでは上記では紹介しきれなかったステンレススクラップについてみていきましょう。
- ステンレス解体:浴槽・流し台といった大がかりな解体作業が必要なステレンス製品
- ステンレス新切:ステンレス板を切断加工した際に発生する端材
- ステンレス304:SUS304のステンレススクラップでSUSの中では買取価格は最も低い
- ステンレス309:SUS309のステンレススクラップでステンレス304よりも高額で買取される
- ステンレス316:SUS316のステンレススクラップでステンレス309よりも高額で買取される
- ステンレス310:SUS310のステンレススクラップで、SUSの中では買取価格が最も高い
ただし、上記はあくまでも一例です。業者によっては上記以外のスクラップでも買取してもらえる可能性があるため、気になる方は依頼時に相談することをおすすめします。
ステンレスを高額買取してもらうための4つのポイント
ステンレスを高額買取してもらうためのポイントとして次の4つが挙げられます。
- 金属相場が高いタイミングで売却する
- 雑品スクラップと見なされないようにする
- 定期的に売却する
- まとまった量を売却する
それぞれ詳しくみていきましょう。
1.金属相場が高いタイミングで売却する
金属の価値は金属相場によって日々、変動しています。したがって、金属相場が高いタイミングで売却すれば、高額で買取される可能性が高いです。
しかし、銅と違って、ステンレスは鉄を主成分として、クロムやニッケルを混ぜ合わせて精製される合金です。そのため、ステンレスの相場は鉄やクロム、ニッケルの相場状況を鑑みて判断する必要があります。
2.雑品スクラップと見なされないようにする
雑品スクラップとは、プラスチックや樹脂など、ステンレス以外の物質が混在しているスクラップのことです。雑品スクラップだと仕分けを買取業者が行わなければならないため、買取価格は低くなります。
また、ステンレスダライ粉に別の物質が混入している場合、買取対象外にもなりかねません。そのため、雑品スクラップと見なされないようにしっかりと仕分けを行う必要があります。
3.定期的に売却する
買取業者も金属スクラップ加工業者へ一定量納品しなければなりません。このような背景もあって、定期的に売却してくれる取引相手の方が納品量の目途を確保でき、取引しやすいです。
そのため、定期的にまとまったステンレススクラップが発生する場合、スクラップ業者と交渉すると、買取価格を上げてもらえる可能性があります。
4.まとまった量を売却する
ステンレスに限らず、スクラップの買取対象量は一般的に1kgからです。業者によっては1kg未満でも買取してくれる可能性がありますが、少量だと売却益は見込めませんし、価格交渉も有利にできません。
有利に価格交渉を行い、できるだけ高額で買い取ってもらうためには、まとまった量を売却する必要があります。
そもそもステンレスとは?
ステンレスとは、鉄を主成分(50%以上)として、クロムが10.5%以上含まれている合金です。英語では「stainless steel」、日本では「ステンレス鋼」ともいい、錆びにくい鉄鋼ともいわれ、錆びやすい鉄に代わる金属として開発されました。
紀元前から使用されている鉄と比較し、ステンレスは誕生してから100年ほどと歴史は浅いです。しかし、製造・技術加工の向上も相まって、ステンレスの使用量は拡大し続けています。
ステンレスのJIS表記
ステンレスのJIS表記は「SUS304」などと表記されます。SUSの略称は次のとおりです。
- Steel (鋼)
- Use (用途)
- Stainless (ステンレス)
SUSに続く数字はステンレスの成分別に、200~600番台で分類されています。
番号 | 成分 |
200番台 | クロム・ニッケル・マンガン |
300番台 | クロム・ニッケル |
400番台 | クロム |
600番台 | 高強度合金系 |
ステンレスの5つの特徴
ステンレスの特徴として次の5つが挙げられます。
- 保湿性・耐熱性が高い
- 加工しづらい
- 電気伝導率が低い
- 耐食性が高い
- 磁性がない
それぞれ詳しくみていきましょう。
1.保湿性・耐熱性が高い
ステンレスは熱伝導率が低い金属です。そのため、保湿性・耐熱性に優れており、ポットや水筒の内壁に用いられています。
一方で放熱性が低いことから、熱を持ちやすいエンジンなどのパーツの原料としてステンレスは用いられません。この場合は、放熱性の高いアルミニウムが用いられています。
2.加工しづらい
ステンレスは難削材ともいわれ、加工しづらい金属です。前述のとおり、ステンレスは熱伝導率が低いため、切削加工時に発生する熱が逃げにくいという性質を持っています。
そのため、工具刃先に負担がかかりやすく、摩耗が進行しやすいです。また、加工するほど硬度が増す加工硬化性も有していることから、工具寿命が短縮してしまいます。
3.電気伝導率が低い
電気伝導率とは電気の通しやすさのことです。ステンレスは電気電度率が低いため、銅や鉄などと比較して、電気を通しにくいです。
そのため、通電箇所の原料として用いられることはありません。
4.耐食性が高い
ステンレスは耐食性が高い金属としても有名です。鉄が腐食するのは、酸素が鉄と結合することで「酸化鉄」が発生するからです。
ステンレスは鉄にクロムを混ぜることで、表面に不動態皮膜と呼ばれる膜が形成されます。クロムは鉄よりも酸素と結合しやすい性質を持っていることから、鉄が酸素と結合して酸化する前に、クロムが酸化して酸化被膜を形成し、表面を覆います。
このように、ステンレスの耐食性が高いのは、傷がついてもすぐに再生するこの膜のおかげといっても過言ではありません。
5.磁性がない
ステンレスは磁性がない金属としても有名です。ステンレスに磁性がないのは、ステンレスを精製する際、耐食性を高めるために、ニッケルを加えるからです。
しかし、すべてのステンレスに磁性がないというわけではありません。というのも、ステンレスの種類によっては、ニッケルを含有していないものもあるからです。
したがって、ニッケルが含まれていないステンレスの場合は、磁性を有しています。ただし、ニッケルを含有しているステンレスでも、物質の含有量や加工による組織変化によって磁性を有している場合があります。
ステンレスの種類
ステンレスの種類として次の3つが挙げられます。
- フェライト系ステンレス鋼
- オーステナイト系ステンレス鋼
- マルテンサイト系ステンレス鋼
それぞれ詳しくみていきましょう。
1.フェライト系ステンレス鋼
フェライト系ステンレス鋼とは、クロムやモリブデン、鋼などを添加したステンレスです。代表的なものとしては、SUS430やSUS444などが挙げられます。
磁性を持つステンレス素材としても知られ、後述するマルテンサイト系ステンレス鋼よりも成形加工性・溶接性に優れている他、結晶構造が安定している事から焼入れなどの熱処理でも硬化しません。
耐食性は、マルテンサイト系より優れ、オーステナイト系よりも劣りますが、フェライト系はニッケルを含有していません。そのため、オーステナイト系のデメリットである応力腐食割れが発生しにくいといった特徴があります。
一方、強度はステンレスの中では低いため、強度目的では用いるのが難しい素材です。
2.オーステナイト系ステンレス鋼
オーステナイト系ステンレス鋼は靭性・延性・溶接性に優れており、冷間加工やプレス成型、溶接組立てに適したステンレスです。代表的なものとしては、SUS303やSUS304、SUS316が挙げられます。
熱処理によって高い硬度を持たせることができる他、ステンレスの中で耐食性が最も優れている事から、自動車部品や理化学装置などに用いられるのが一般的です。また、磁性は持たないものの、加工次第では磁性を有することがあります。
一方、加工箇所がマルテンサイトに変化し、加工硬化が起きてしまうデメリットがあります。加工硬化が起きると、加工箇所の硬度が極端に高くなり、加工が困難になるため、注意が必要です。
また、ニッケルが含まれていることから、他のステンレスと比較すると高価な素材です。
3.マルテンサイト系ステンレス鋼
マルテンサイト系ステンレス鋼は炭素含有量が多いステンレスです。代表的な物としては、SUS403やSUS410、SUS440が挙げられます。
高強度と耐摩耗性、靭性を持ったステンレスで、軸受けやベアリングといった部品の原料として用いられることが多いです。一方、クロムの含有率は11~18%程度と他のステンレスよりも少ないため、耐食性は低いです。
また、焼入れや焼戻しをしたものを使用するのが一般的であり、これらの処理を施して居ない場合は脆い状態となります。したがって、製品や部品の素材として用いる場合は、熱処理を施す必要があります。
まとめ
ステンレスの買取価格推移や高額で買取してもらうポイントについて解説しました。ステンレスの買取価格は2022年6月~8月頃までは下落していましたが、その後は横ばい状態が続いています。
しかし、ステンレスは鉄を主成分とした合金であり、種類によってニッケルやマンガン、モリブデンといった金属が含有している場合があります。そのため、ステンレスの種類によっては、他金属の相場状況によって価格が変動することも少なくありません。
事実、ステンレス板の持ち込み相場は2022年8月以降、横ばいをしていますが、ステンレスコロの持ち込み相場は2023年4月より下落している状態です。ステンレスを高額買取するためには、買取予定のステンレスに含まれる金属の相場状況を一通り確認したうえで、買取タイミングを見極める必要があります。
当店は、鉄や非鉄スクラップの回収と高価買取を行っています。スクラップ買取でお困りの方は、ぜひ一度当店にご相談ください。
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