金価格は高騰している
金価格は短期間で高騰しています。2021年3月頃は1gあたり6,700円程度でしたが、その後は価格が上昇し、約1年後の2022年4月には史上最高値である8,860円を記録しました。
その後は若干値が下がり、同年8月には8,400円手間まで下落しましたが、その後は再度上昇傾向にあり、2023年1月には8,857円と8,860円に近付く勢いをみせています。
金価格が変動する4つの要因
金価格が変動する要因として次の4つが挙げられます。
- 需要・供給のバランス
- インフレの懸念
- 地政学的リスク
- 円安の進行
それぞれ詳しくみていきましょう。
需要・供給のバランス
金価格も他の相場同様、需要と供給のバランスによって価格が変動します。金の需要が拡大したり、供給が追いつかなくなったりすると価格が上昇します。
反対に金が豊富だったり、購入者が少なかったりする場合、価格が下落するわけです。2000年代以降、急成長した中国やインドで、金を求める人が増えています。
一方、南アフリカの主要採掘場所では金はほぼ掘り尽くしてしまったともいわれており、金の採掘量は減少しています。需要が拡大している一方で、供給量は減少していることから、新しい金鉱脈が発見されない限りは、金の価格は今後も上昇していく可能性が高いです。
インフレの懸念
インフレ時に資産を守れるのも、金のメリットです。景気が回復すると、製品・サービスの価格が上昇しますが、価格上昇が予想されるタイミングでは、大勢の人が安いうちに購入しようと考え、更なる価格上昇を引き起こします。
これがインフレで物の価値が上がれば、現金の価値は相対的に下落してしまいます。インフレが懸念される際に現金を金に変えておけば、商品と同じように金の価格も上がるため、資産の防衛が可能です。
インフレが懸念される際は、資産防衛目的とした金需要が拡大するため、価格も自然と上昇していきます。
地政学的リスク
戦争やテロなどが起きたり、起きる可能性が高かったりする時は、有事の金とも呼ばれ、金が買われやすくなり、価格が上昇しがちです。これは安定した資産を求める人が増えるのが理由として挙げられます。
ただし、地政学リスクによって価格が高騰することは間違いありませんが、高騰したタイミングで売却する投資家も多いです。そのため、地政学リスクが高まったからといって、有事の金が該当しないケースも増えています。
円安の進行
基本的に米ドルで取引される金は、日本へ輸入するため、ドル円相場が大きく影響します。そのため、円安が急激に進行すれば、輸入品と同じく金の価格も高騰しがちです。
金は市場規模が大きいことから、短期間で価格が乱高下することはほとんどありません。金価格が短期間で変動するのは、金そのものよりもドル円相場が金価格に影響しているケースが多いです。
冒頭で紹介したとおり、金価格は短期間で大きく高騰しています。
これは約1年間で103円から147円と急速に進行した円安をはじめ、ロシアのウクライナ侵攻や米中対立激化といった地政学リスク、世界的なインフレの加速が要因といってよいでしょう。
今後の金価格動向について
2023年3月に行ったシリコンバレー・バンクの破綻により、銀行システム不安が高まりました。その結果、市場全体にリスク回避の動きが加速し、安全資産として金の需要拡大、価格が上昇しています。
ウクライナ侵攻の長期化や、インフレの更なる加速も考えられますが、この2~3年の間に様々なことから水準もすでに高くなっている状態です。このような背景もあって、これらから事態が悪化するシナリオは起きづらく、高止まりか多少下落することが考えられます。
ただし、目先にはインフレの再燃や金利上昇、円安の進行と、警戒すべき事項が多いのも無視できません。特にドル円は2023年1月に127円まで下落した後は再度上昇し、同年5月には140円まで円安が進行しており、ドル円の相場状況によっては金相場も不安定な値動きが続く可能性があります。
また、中長期的なリセッション懸念が高まった場合は、市場最高値更新も考えられるため、動向を注視しながら、リスクヘッジを行っていく必要があるでしょう。
そもそも金とは?
金とは、元素記号「Au」、原子番号「79」で、周期表では銅や銀などと同じ11族に分類されている貴金属です。元素記号であるAuの由来はラテン語で光るものを意味する「aurum」から、英語表記のGoldはサンスクリット語で「輝く」が由来になっているといわれています。
金は自然界に単体で存在している金属であるため、他の金属と違って製錬の必要がありません。
金の特徴
金の特徴として次の6つが挙げられます。
- 融点が低く加工しやすい
- 展延性に優れている
- 熱伝導率・電気伝導率に優れている
- 比重が重い
- 耐酸化性が高く
- 酸に溶けない
金は耐酸化性が高いため、錆びにくく経年劣化による退色や腐食が少ないです。そのため、不変の輝きを持っています。
また、金は酸では溶けません。ただし、玉水では溶けるため、注意が必要です。
金の代表的な用途
金の代表的な用途は次の3つです。
- イヤリング・ネックレス・リングなどのジュエリー
- 貨幣・インゴットといった資産
- 半導体ワイヤーといった工業部品の原料
有名な用途としてはジュエリーや資産ですが、金は熱伝導率・電気伝導率の高さを活かして、工業部品の原料としても広く用いられています。
金の歴史
金は人類がはじめて発見した金属ともいわれ、非常に長い歴史を持っています。古代では現代のような加工技術がなかったため、装飾として用いられるのが一般的でした。
紀元前7世紀頃にはすでに金を用いた貨幣も登場しており、すでに国際通貨の役割を果たしていたといわれています。18世紀初頭にアマゾンで砂金が採掘され、1848年にはカリフォルニア州の放水路で金が発見されたことで、ゴールドラッシュを迎えます。
日本でも金は歴史的に高い価値を持っていますが、装飾や貨幣として用いられるのが一般的であった海外に対し、日本は神社仏閣や建築物などに用いられることが多いです。日本でも金山が豊富だった時代があり、最盛期は8~15世紀で、現在の岩手県~宮城県を皮切りに、佐渡や九州地方など全国各地で採掘されていました。
現在は枯渇しほぼ閉山していますが、1980年代には熊本県と鹿児島県の間にある菱刈にて金鉱山が発見され、現在でも操業しています。
金の種類
金の種類として次の5つが挙げられます。
- K24
- K22
- K18
- K14
- K10
それぞれ詳しくみていきましょう。
1.K24
K24は純金99.9~100%の金です。24金や純金ともいわれ、純金含有率がほぼ100%であることから、変色・腐敗といったリスクがなく、長期間保有しても輝きを保持できます。
純金は価値を重視しており、インゴットやコインなどの資産として用いられることが一般的です。金の硬度は低く、非常に柔らかいため、ジュエリーとしてはほとんど使用されません。
2.K22
K22は22金ともいわれ、純金91.7%、混合物8.3%の金です。前述のK24よりも硬度が高く丈夫で、後述するK18よりも金の雰囲気を楽しめる素材であることからジュエリー素材として、近年注目を集めています。
純金よりも丈夫であるものの、傷付きやすく、変形しやすいため、取扱いには注意が必要です。
3.K18
K18は18金ともいわれ、純金75%、混合物25%の金です。高純度で扱いやすく、加工しやすい素材であることから、ジュエリーによく用いられています。
混合させる金属によって、ホワイトゴールドやピンクゴールドなどのバリエーションを楽しめます。また、扱いやすく、加工しやすいといった性質を利用して、時計やスマホケースなど、様々な商品の素材として用いられているのもK18の特徴です。
4.K14
K14は14金ともいわれ、純金58.5%、混合物41.5%の金です。金の含有率が減る14金は、金の色味が喪失してしまう他、変色リスクが高いといったデメリットがあります。
しかし、金の含有率が少ない分、安価で購入しやすい他、耐久性が向上することから、文房具といった日常品に加工されるケースも多くなります。
5.K10
K10は10金ともいわれ、純金42%、混合物58%の金です。金の含有率が5割以下となるため、K14よりもさらに輝きが喪失し、変色や錆が生じやすいです。
一方で、金の含有率が低い分、より手ごろな価格で手に入る金製品として注目を集めており、市場にも多く出回っています。
金の純度を調べる3つの方法
金の純度を調べる方法として次の3つが挙げられます。
- 水に沈める
- 試金石を使用する
- 重量と感触で判断する
それぞれ詳しくみていきましょう。
1.水に沈める
水と比重を使用することで、金の純度の目安をある程度図れます。水の重さを1とした場合、純金であるK24の重さは19.13~19.51、K18の重さは14.84~16.12であるため、対象の比重がこの範囲に該当すれば、金の純度を判別できます。
水に沈めて純度を調べる手順は次のとおりです。
- 金製品の重さをキッチンスケールで量る
- 水に入った容器をスケールの上に置き、0表示にする
- 底面や側面に触れさせないようにして金製品を水に沈め数値を記録する
- 手順3の数値÷手順1の数値で計算する
- 手順4で産出された数値が金製品の比重
上記方法は水に沈められないものでは使用できない他、キッチンスケールの精度によっては正確な数値が出せないケースがあります。宝石がついている場合や、精度が高い偽物でも判断できないため、注意が必要です。
2.試金石を使用する
江戸時代から伝わる査定方法として有名なのが、試金石の使用です。試金石で純度を調べる手順は次のとおりです。
- 試金石を準備する
- 金製品を試金石にこすりつけて金を少し削り取る
- 削り取った金の色合いや濃さ、残り方などで判断する
純金であれば、濃いオレンジ色となり、純度が低下するにつれて色合いが明るく変化します。ただし、この方法は試金石を用意しなければならず、金製品に傷を付けなければなりません。
素人だと色合いの違いで判断するのは難しいため、素人が行うのはあまりおすすめしません。
3.重量と感触で判断する
金の純度よりも前に確認することが、本物かどうかです。本物かどうか自身で確認する際は、手のひらの上に金製品を置くだけです。
本物であれば、見た目以上にずっしりとした重い他、熱電度率が高いことから、体温によってじんわりと温められていきます。本物かどうか判断するには知識・経験が必要ですが、金の性質を学ぶ観点からもこの方法を試してみるとよいでしょう。
これらの方法はあくまでも自宅で試してみる方法であり、素人が行ったところで、純度を正確に算出できる保証はありません。純度を正確に知りたいという方は、業者に依頼することをおすすめします。
まとめ
金の価格チャートを交えながら、金価格の現状や金価格の変動要因、今後の金価格の動向について解説しました。金価格は2021年~2022年の1年間で2,000円近く高騰し、2023年1月には2022年に記録した市場最高値に近付く勢いです。
金価格は比較的安定しており、通常ならば短期間で価格が大きく変動することはほぼありません。しかし、世界的なインフレやウクライナ侵攻・台湾を取り巻く米中激化による地政学リスク、急激なドル高円安進行で金価格は短期間で大きく高騰しました。
また、シリコンバレー・バンクの破綻によって銀行システム不安が高まり、市場全体のリスク回避が加速、安全資産としての金需要が拡大するなど、金相場は当分不安定な状態が続く懸念があります。
したがって、金を購入・買取する際は、金価格をしっかりと確認したうえで、タイミングを見極めることが大切です。
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カフェ・レストラン・バー等の飲食店の経営
1940年代 | 個人商店(新崎商店)として、新崎真悟が金属リサイクル事業を開始。 |
2002年 | 新たにレアメタルの取り扱いを開始。現代表 新崎 哲雄が有限会社エスアールシーを設立。 |
2005年 | 事業拡大に伴い、株式会社へ組織変更。 |
2007年 | 新たに貴金属リサイクル事業・地金取り扱いを開始。貴金属事業部:神戸ゴールドバンク発足。 |
2010年 | 超硬リサイクル事業部(超硬ドットコム)サービス開始。 |
2013年 | ニッケルコバルトリサイクル事業部(ニコニコメタル)サービス開始。 事業拡大のため、六甲アイランドに事業用地を取得。六甲アイランドベース開設。 |
2018年 | アンティーク家具・雑貨事業部(Kobe Antique Warehouse)サービス開始。 レアウイスキー、クラフトビール販売サービス開始。 |
2019年 | 歯科金属リサイクル事業部(シカキン)サービス開始。 |
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鉄鋼ビルディング4階 S-07