アルミニウムの買取相場
アルミニウムの買取相場はここ1年間横ばいしています。アルミサッシの買取価格は2022年6月時点で1kgあたり250円でした。
同年8月には200円付近まで下落しましたが、その後は持ち直し2023年6月時点で230円あたりを推移している状態です。
アルミ解体サッシは2022年6月時点で1kgあたり250円前後でしたが、同年8月には200円を下回り190円あたりを推移していました。しかし、12月あたりから価格が持ち直しはじめ、2023年4月以降は2022年6月と同じ価格帯に推移しています。
アルミスクラップとは?
アルミスクラップとは、アルミニウムが主原料となっているスクラップのことです。ただ、アルミスクラップと定義されるのは、リサイクルによってアルミニウムを使用した製品・部品の原料として活用できる廃品のみです。
したがって、アルミニウムが主原料であってもリサイクル資源として活用できない場合は、アルミスクラップとは見なされません。
アルミスクラップの種類・買取相場
アルミスクラップの種類として次の6つが挙げられます。
- アルミ(上)
- アルミ(下)
- アルミ缶
- アルミ缶(プレス)
- アルミホイール
- その他
ここでは各スクラップの概要と買取相場についてみていきましょう。
アルミ(上)
アルミ(上)とは、アルミサッシから鉄やステンレスなどのダストを除去したアルミスクラップです。
ダストが除去されている分、買取価値が向上するため、買取価格も高くなる傾向にあります。
アルミ(下)
アルミ(下)とは、アルミサッシから鉄やステンレスなどのダストが付着しているアルミスクラップです。アルミ(上)の下位互換であり、ダストが付着している分、買取価格は低くなります。
ダストの付着有無で買取価格に大きな差が生じるため、可能であればダストを除去して売却するようにしましょう。
アルミ缶
缶ビールや缶ジュースといった空き缶をアルミ缶として売却できます。ただし、スチール缶が混在している場合は、鉄扱いとなりアルミスクラップとしてみなされません。
そのため、種類ごとにしっかりと分別することが大切です。
アルミ缶(プレス)
アルミ缶(プレス)は、大量のアルミ缶をプレスして1つにまとめたものです。アルミ缶を1つずつ潰しているものは、アルミ缶(プレス)には該当しません。
また、ペットボトルやスチール缶が混在している場合、買取不可となる可能性が高いため、しっかりとした分別した状態でプレスするようにしましょう。
アルミホイール
自動車のアルミホイールもアルミスクラップとして買取可能です。中古アルミホイールとして販売するためにアルミホイールを買取する業者もいますが、スクラップ買取業者の場合はアルミホイールとして使用しません。
そのため、長期間使用しているものや傷づいているもの、割れているものでも問題なく買取可能です。ただし、ダストが付いているアルミホイールの場合、買取価格が下がります。
アルミホイールはゴムやバルブ、鉛など多くのダストが付いているため、買取価格を下げたくないのであれば、ダストを除去してから持ち込みましょう。
その他
ここまで紹介してきたアルミスクラップは代表的なものです。上記以外にも様々な品目でアルミスクラップの買取が行われています。
その他のアルミスクラップは以下のとおりです。
- アルミ印刷版
- アルミガラ
- アルミヒートタンク
- ヒートシンク
- アルミ鍋
- 脚立・台座といったはしご
- アルミ丸筒
- アルミ支柱
- アルミラジエーター
- アルミ切粉
- アルミ電線
買取業者によっては野球用のアルミバットをアルミスクラップとして買取してくれる場合があります。アルミスクラップの買取を検討しているが、買取対象か分からないという場合、まずは業者に問い合わせてみるとよいでしょう。
アルミスクラップを買い取ってもらう3つのメリット
アルミスクラップを買い取ってもらうメリットとして次の3つが挙げられます。
- 廃棄コストの削減
- 収益の向上
- 環境問題の解決に寄与できる
それぞれ詳しくみていきましょう。
1.廃棄コストの削減
アルミスクラップを買い取ってもらえれば、廃棄コストの削減が可能です。アルミスクラップを産業廃棄物として処理する際、処理コストがかかります。
廃棄するスクラップ量が多いほど、廃棄コストは当然高くなります。アルミスクラップを買い取ってもらえれば、廃棄するスクラップ量を削減できるため、廃棄コストの削減が可能です。
2.収益の向上
アルミスクラップの買取は、従来であれば廃棄物として処理していたものを、1種の商品として売却できます。買取によって発生した雑所得は利益計上が可能なため、利益の向上にも寄与できるでしょう。
ただし、買取によって得た売却益は雑所得としてしっかりと申告しなければなりません。申告していない場合、税務調査の対象となるリスクもあるため、領収書を授受・保管し、忘れずに計上しておくことが大切です。
3.環境問題の解決に寄与できる
日本は国土が狭い分、埋め立て処分場の確保が大きな課題となっています。アルミスクラップの買取によってリサイクルすれば、産業廃棄物量を削減できるため、埋め立て処分場が満杯になるスピードを減らせます。
また、鉱山掘削量削減による環境破壊の抑制や、鉱物から金属を精製する際のエネルギー量削減など、様々な環境問題の解決に寄与できるでしょう。
アルミニウムとは?
アルミニウムとは元素記号「AI」、原子番号「13」で、周期表ではホウ素やインジウム、ガリウムなどと同じ13族に分類されている金属です。名称を略して「アルミ」と呼ばれることも多いです。
アルミニウムは、赤褐色の鉱石・ボーキサイトから製錬されています。ボーキサイトから酸化アルミニウムから抽出した後、それらを電気分解してアルミニウムを取り出します。
アルミニウムが金属として発見されたのは、1800年代のことです。そのため、紀元前に発見され活用されてきた銅や鉄などと比べると、歴史は古くありません。
また、アルミニウムはその性質上、用途によって強度が不十分である場合もあります。そのため、強度を高めるために銅やマンガン、マグネシウムなどを加えて、アルミニウム合金が作られています。
アルミニウムの特徴
アルミニウムの特徴として次の6つが挙げられます。
- 電気伝導率・熱伝導率が高い
- 耐食性が高い
- 比重が軽い
- 非磁性
- 光・熱の反射
- 非毒性
それぞれ詳しくみていきましょう。
電気伝導率・熱伝導率が高い
アルミニウムは電気伝導率が非常に高い金属です。電気伝導率が高い金属として有名な銅よりも劣るものの、同じ重量の銅と比較すると、アルミニウムの方が2倍の電流を通します。
そのため、この特徴を活かして、送電線や配電線の原料として用いられています。
また、アルミニウムは熱伝導率も高いです。鉄の約3倍の熱伝導率を有している他、熱しやすく冷めやすい、放熱性も優れていることから、エンジンパーツなどの原料としても用いられています。
耐食性が高い
耐食性とは、錆びにくさのことです。アルミニウムはステンレスと同じく酸化皮膜を形成するため、耐食性が非常に高いです。
そのため、建築や海洋開発、自動車といった耐食性が求められる分野で多く用いられています。
比重が軽い
アルミニウムは比重が軽い金属としても有名です。鉄7.8、銅8.9の比重であるのに対して、アルミニウムの比重は約1/3の2.7です。
比重が軽いアルミニウムを用いれば、自動車や飛行機などの燃費向上に寄与できる他、部品の作業効率を向上させることもできます。
非磁性
アルミニウムは非磁性であるため、磁気を帯びていません。
磁気に影響される心配がないため、メカトロニクス機器製品や電子医療機器などの製品にも用いられています。
光・熱の反射
アルミニウムは反射性が高いです。
光・熱・電磁波を反射することから、レーザープリンターや照明器具などに幅広く用いられています。
非毒性
アルミニウムは非毒性であるため、人体や土壌に悪影響を及ぼす心配がありません。
そのため、家庭用器具や医療機器はもちろん、飲料缶や食品の包装などで多く用いられています。
アルミニウムの種類
アルミニウムの種類として次の7つが挙げられます。
- 1000番手系
- 2000番手系
- 3000番手系
- 4000番手系
- 5000番手系
- 6000番手系
- 7000番手系
それぞれ詳しくみていきましょう。
1000番手系
1000番手系のアルミは、純度99%以上の純アルミニウムのことです。前項で解説したアルミニウムの特徴をもっとも活かすことができるのが、この1000番系のアルミニウムとなります。
1000番手系は強度が弱いため、強度が必要な部分の材料としては適していません。そのため、家庭用品や電気機器、強度が求められない部材・部品に用いられるのが一般的です。
2000番手系
2000番系はジュラルミンと呼ばれるアルミニウムです。銅を多く含有させることで、強度を高めています。
ただし、銅の特徴上、酸化しやすいため、純アルミニウムである1000番手系と比べると、耐食性が低いです。そのため、ジュラルミン加工する際は、耐食性を高めるためにアルマイト処理といった表面処理を行う必要があります。
2000番手系の代表的な用途はジュラルミンケースですが、機会などの部品にも幅広く採用されています。
3000番手系
3000番手系はマンガンを含有することで、強度を高めながら耐食性も向上させたアルミニウムです。
アルミ缶の材料として用いられることが多い番手であり、耐食性の高さを活かして、パネルといった建築材や屋根材などにも多く用いられています。
4000番手系
4000番手系はシリコンが加えられているアルミニウムです。シリコンの特性をプラスすることで、アルミニウムに耐熱耐性および耐摩耗性を付与できます。
また、他のアルミニウムよりも融点を抑えられるため、ろう材や溶接溶加材、熱膨張の少なさを活かして鍛造ピストンなどに用いられています。
5000番手系
5000番手系はマグネシウムが加えられているアルミニウムです。マグネシウムの特性によって、耐食性と強度が向上しています。
加工もしやすいため、アルミニウムを原料とした切削加工に最適の番手であり、切削材料としては代表的な素材です。
6000番手系
6000番手系はシリコンとマグネシウムが加えられているアルミニウムです。5000番手系のアルミニウムと比較して強度や耐食性が優れている他、熱を加えることで硬度を高められるものもあります。
一方、6000番手系は熱伝導率の関係上、溶接箇所以外にも熱が広がるため、溶接の周辺部位まで強度が低下してしまうリスクがあります。そのため、ボルトやナットなど、機械的な接合が行われることが多い素材です。
また、表面処理によって、陽極酸化皮膜を獲得できるため、建築用サッシなどの構造材としても多く用いられています。
7000番手系
7000番手系はマグネシウムと亜鉛が加えられているアルミニウムです。熱処理によって強度を向上させることで、アルミニウムの中で硬度を最大化できます。
また、折り曲げや引っ張りに強い性質も有していることから、アルマイト処理を施すことによって、様々な性質を付与できます。7000番手系の代表的なアルミニウムがA7075です。
A7075は超々ジュラルミンともいわれ、2000番系のアルミニウムを遥かにしのぐ硬度を有しています。
まとめ
アルミニウムの価格チャートを交えながら、アルミニウムの買取相場やアルミスクラップの概要・種類について解説しました。アルミニウムの買取相場は2022年~2023年の1年間は大きな変動もなく、ほぼ横ばい状態です。
大きな価格変動があった銅やレアメタルなど比べると、価格動向は比較的落ち着ているといってよいでしょう。ただし、日本は資源消費量が世界でもトップクラスですが、資源のほとんどを輸入に頼っている状態です。
今後のインフレや世界情勢によっては価格が大きく変動するリスクもあるため、しっかりと動向を見極めておく必要があります。
当店は、鉄や非鉄スクラップの回収と高価買取を行っています。スクラップ買取でお困りの方は、ぜひ一度当店にご相談ください。