「パラジウムって何?」
「パラジウム相場の動向について知りたい!」
パラジウム相場の動向について
パラジウム相場は2016年~2021年の5年間で大きく高騰しました。2015年時点では1オンス(31g程度)あたり500ドル付近でしたが、2021年5月には約6倍となる3,000ドル付近まで上昇しています。
また、2022年2月24日に開始されたロシアのウクライナ侵攻によって、2022年3月には供給不安などから3,400ドルまで上昇しました。しかし、その後相場は下落し、2023年2月には1,420ドルと最高値の半分以下となっています。
そのため、パラジウムバブルは弾けたのではないといわれています。
パラジウムが高騰した3つの理由
パラジウムが高騰した理由として次の3つが挙げられます。
- ディーゼル車の問題
- 政治的要因
- 元々の希少性の高さと供給の少なさ
それぞれ詳しくみていきましょう。
1.ディーゼル車の問題
パラジウムが高騰した理由として挙げられるのが「ディーゼル車の問題」です。ディーゼル車の問題とは、2015年9月に発覚したドイツ・フォルクスワーゲンの肺ガス不正処理事件のことです。
この事件発覚後、他のディーゼル車でも同様の不正が発覚したことで、ヨーロッパのディーゼル車全般が低迷していきました。ディーゼル車が低迷したことで、パラジウムを触媒とする電気自動車やガソリン車の需要が増加し、パラジウム相場が高騰したといわれています。
2.政治的要因
政治的な要因も絡んでいます。パラジウムが高騰をはじめた当時、アメリカがパラジウムの最大産出国であるロシアに対して、経済制裁を行いました。
両国間で政治的な緊張が生じた結果、パラジウムの産出および供給に影響を与えたことで、パラジウムが高騰しました。
3.元々の希少性の高さと供給の少なさ
パラジウムはレアメタルに分類される金属です。「レアメタル」とは、埋蔵量が少ないあるいは技術・コスト面から抽出が難しい希少金属のことです。
パラジウムの主な供給国はロシアと南アフリカ共和国の2ヶ国で、供給率はこの2ヶ国だけで世界全体の約85%を占めているといわれています。パラジウムの希少性の高さや、供給先の偏りも価格高騰の原因だといえるでしょう。
パラジウムバブルが弾けた要因
パラジウムバブルが弾けたとは断言できませんが、弾けた可能性が高いといわれています。弾けた要因として挙げられるのが「自動車業界の変化」です。
2021年前後から世界各国が地球温暖化対策の取り組みとしてカーボンニュートラルを目指し、ガソリン車の販売終了および、電気自動車にシフトチェンジすることを明確に発表しました。電気自動車が普及すれば、排ガスの触媒となるパラジウムを使用する必要がなくなるためパラジウムの需要は低下することが予想されます。
これがパラジウム相場が下落した大きな要因です。前述のとおり、ロシアのウクライナ侵攻によって、パラジウム相場は2022年3月に3,400ドルまで上昇しましたが、2023年2月には1,420ドルと最高値の半分以下となっています。
ウクライナ侵攻は2023年3月時点でも続いており、西欧諸国をはじめとするロシアへの経済制裁も解除されていない状況です。需要の期待値が以前のままであれば、パラジウム相場は高値を更新したり、高値水準を維持したりしてもおかしくありません。
このような状況にもかかわらず、パラジウム相場が下落するということは、2016~2021年頃のパラジウムバブルは弾けたと解釈するのが妥当なのかもしれません。
そもそもパラジウムとは?
「パラジウム」とは、元素記号「Pd」、原子番号「46」の貴金属です。また、「元々の希少性の高さと供給の少なさ」で触れたとおり、産出地がロシアと南アフリカと偏っています。
世界全体の産出量は金が年間3,000トン前後であるのに対して、パラジウムは年間200トン前後と少なく、埋蔵量も金と比べて非常に少ないです。そのため、パラジウムは希少性が高く、レアメタルにも分類されます。
1802年にイギリスの化学者・物理学者であったW.H.ウラストン氏によって発見され、「パラジウム」と名付けられました。
パラジウムの特長
パラジウムの特長は大きく分けて次の2つです。
パラジウムは体積が935倍を誇る水素の吸蔵が可能な金属です。そのため、水素を貯蔵する材料として役立てられるのではないかと注目を集めています。
また、パラジウムの融点は1,555度であり、鉄とほぼ同じです。比較的融点が低い金属であることから、加工しやすい貴金属として用いられています。
プラチナとの違い
「プラチナ」はパラジウムと同じく白金族元素に分類されている金属です。耐食性が高い、展延性に優れている、銀白色で美しい輝きを放っているなど、両者には多くの共通点があり、性質が非常によく似ています。
その一方、両者には多くの違いがあります。両者の代表的な違いは大きく分けて次の3つです。
「価値」ですが元々、パラジウムはプラチナと比べると価値が低い金属です。しかし、パラジウムとプラチナ相場の変化によって、パラジウムの方が高値で取引されることも増えています。
金属の価値はその時の情勢によって大きく変化するため、一概にどちらに価値があるかは断言できません。正確に価値を知りたいという場合は、その時の相場を比較することが大切です。
次に「比重」です。プラチナとパラジウムであれば、パラジウムの方が軽い金属となります。
「硬度」ですが、パラジウムはプラチナと比較すると硬度が高いです。そのため、プラチナの強度を高める素材として、パラジウムが使用されることがあります。
パラジウムの主な用途
パラジウムの主な用途として次の4つが挙げられます。
- 化学反応の触媒
- 装飾品
- 電気・電子工業向けの部品
- 歯科治療の素材
それぞれ詳しくみていきましょう。
化学反応の触媒
パラジウムが最も多く用いられているのが、自動車排ガス触媒です。自動車の排ガスには、一酸化炭素や炭化水素といった有害な化学物質が多く含有されていますが、触媒としてパラジウムを用いると一酸化炭素を二酸化炭素に変換できます。
パラジウムに似た金属であるプラチナにも同様の触媒効果がありますが、コスト面からパラジウムが利用されているようです。また、自動車の排ガス以外にも、ヘック反応やクロスカップリング反応などの有機合成触媒にパラジウムが利用されています。
装飾品
パラジウムは装飾品の素材として用いられる金属の1つです。プラチナは強度が低いため、アクセサリーとして使用するのは不安が残る素材ですが、そこで用いられるのがパラジウムです。
前述のとおり、パラジウムはプラチナよりも硬度が高いことから、プラチナの割金として、パラジウムを使用します。プラチナにパラジウムを混合させることで、強度を高めたり、色合いを調整したりすることが可能です。
プラチナ以外にもシルバーアクセサリーの割金や、ホワイトゴールドの素材に使用されています。また、近年はキズが付きにくいといった特性から、パラジウム100%の結婚指輪が注目を集めているそうです。
電気・電子工業向けの部品
電気・電子工業用部品の素材や、コンデンサーの材料、電子機器の接点など様々な工業製品にもパラジウムは使用されています。
ただし、コンデンサーの材料は近年、パラジウムに代わってニッケルが使用されるようになってきています。
歯科治療の素材
歯科治療で用いられている銀歯ですが、これは金12%・パラジウム20%が含有されている合金です。したがって、歯科治療の素材としても、パラジウムは使用されています。
ただし、パラジウムの使用は金属アレルギーの懸念があることから、別の合金の使用が推奨されるようになってきています。
金属スクラップ買取の2つのメリット
金属スクラップ買取のメリットは次の2つです。
- 環境問題対策につながる
- 産業廃棄物の処理コストを削減できる
それぞれ詳しくみていきましょう。
環境問題対策につながる
日本は国土面積が狭く、埋め立て地や処分場の確保に苦労しています。金属スクラップを産業廃棄物ではなく、リサイクル資源として活用できれば、環境問題対策に貢献できるでしょう。
また、金属スクラップの利用率が高まれば、鉱石を新規に掘削する量を削減できるため、環境破壊を防止できる他、精錬時のエネルギー消費量を抑えられるため、地球温暖化対策にも貢献できます。
産業廃棄物の処理コストを削減できる
事業活動によって排出された金属スクラップは「産業廃棄物」となり、産業廃棄物処理業者に依頼して処理してもらう場合、決して安くない処理コストがかかります。しかし、金属スクラップを買取してもらえれば、従来ならば発生していた処理コストを削減することが可能です。
それどころか、売却益として、売上に付与できます。
金属スクラップの買取の注意点
金属スクラップを買い取ってもらう際の注意点として次の4つが挙げられます。
- 金属をリサイクルしても100%クリーンというわけではない
- 業者が必要な許可証を取得していない
- 買取価格と相場に大きな違いがある
- 領収書は必ずもらっておく
それぞれ詳しくみていきましょう。
金属をリサイクルしても100%クリーンというわけではない
金属スクラップを買取してもらえれば、リサイクル資源として再利用できるため、鉱山掘削量や産業廃棄物量の削減につなげられます。鉱石から金属に精錬するよりも金属スクラップを金属に精錬した方が消費エネルギーを抑えられるため、地球温暖化対策にもなります。
ただし、金属スクラップをリサイクルしても100%クリーンになるわけではありません。理由は、精錬時のエネルギーを抑えられるとはいえ、消費エネルギーがゼロというわけではなく、金属スクラップ回収時の集荷・輸送時にもエネルギーが必要だからです。
業者が必要な許可証を取得していない
金属スクラップ買取業者は法律・条例にしたがって、必要な許可証を取得しておかなければなりません。金属スクラップ買取業者が取得しておくべき許可証は次の4つです。
- 古物商許可:古物営業法に定められており、事業として中古品を売買する際に必要な許可証
- 産業廃棄物収集運搬業許可:産業廃棄物の収集・運搬を行うために必要な許可証
- 金属くず商:都道府県によって必要になる許可証
- 一般廃棄物収集運搬業許可:一般家庭からスクラップを収集・運搬する際に必要な許可証
都道府県によって必要ない許可証もありますが、これらの許可証を取得していないにもかかわらず金属スクラップを買取している業者は違法です。そのため、買取依頼は行わないようにしましょう。
買取価格と相場に大きな違いがある
パラジウムの価格がパラジウム相場によって変動するように、銅やアルミニウムなどの価格も各相場によって変動します。そのため、相場と買取価格に大きな違いがある場合は、買いたたきを行っている悪徳業者の可能性が高いです。
買取依頼する際は提示されている価格が適正かどうかしっかりと確認しておきましょう。また、多くのユーザーから信用を得ているという解釈にもつながるため、多くの実績を挙げているかどうかも合わせて確認するとよいです。
領収書は必ずもらっておく
金属スクラップを買取した際、領収書は必ずもらっておきましょう。金属スクラップの売却益は本業の売上以外の収益となり、経理上では「雑収入」として処理しなければなりません。
雑収入として計上していない場合、税務調査が行われると大きな問題となります。計上漏れを起こさない、雑収入内容が正しいことを証明するためには、売却益が小さくても、しっかりと領収書をもらい、保管しておくことが大切です。
まとめ
パラジウム相場は2016年~2021年の5年間で大きく高騰しました。しかし、世界的な電気自動車へのシフトチェンジおよびガソリン車の販売終了を各国が明確に発表した2021年前後から、パラジウム相場は下落しています。
そのため、買取価格は戻りつつあり、今後の需要次第ではさらに下落する可能性もゼロではありません。したがって、相場状況をしっかりと把握することが大切です。
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